他のツールや資本財と同様に、プログラムの価値は2つの価値を持つ。
利用価値 それをツールとして使うときの経済価値
販売価値 それを販売できる商品として見たときの価値
経済学的に言えば、
利用価値は中間財
販売価値は消費財
といえる。
中間財 〜 インフォバンク マネー百科
- ほとんどの開発者の開発時間にたいする資金は、その販売価値に基づいて決まる。
- ソフトの販売価値は、その開発コストと(その機能を実現するために必要な資源のソフト)その利用価値に比例する
販売用に書かれるコードは、プログラミングの氷山の一角
ほとんどのプログラマの労働時間が割かれるのは(そしてプログラマの給料の大部分を占めるのは)、まったく販売価値のないインハウスのコーディングやメンテナンスだということである。
音楽や地図やデータベースの複製権などは、最初のベンダがなくなっても販売価値は維持される。
しかし、ソフトウェアについては、ベンダが倒産 廃業すると、販売価値は限りなくゼロに近づく。
ふつうのソフトプロジェクトのライフサイクルコストのうちで、75%がメンテナンスやデバッグや拡張に費されているのに、
購入価格は高く固定しておいてサポート料は低いか無料にするというよくあるやりかたはどう考えても
万人に良からぬ結果になるはずである。
利用価値の向上に大部分のエンジニアが投入されているのに、それに対する支払いはほとんどゼロに近いから。
そしてヘルプデスクは収益部門ではないから、いちばん能力のない従業員の掃き溜めになり、顧客の大多数を完全に追い払わない程度のギリギリ最低限の資源しか回されない
こういうモデルを採用しているベンダの殆どは、長期的には失敗する。サポートコストやライフサイクルコストを
売上でカバーしている状況だから、売上が下がると製品を見捨てることでしかコストを削れないから。
サービス契約や購読など、ベンダと顧客の間の価値交換が継続的に行われるような価格構造が必要となる。
財のコストが下がると、それを支えるインフラに対する投資は、減るのではなく増えるから。